漆器を自分で塗りなおす

すきなもの、すきなこと

私は食器が大好きです。
普段から好きな食器を使いたいので
普段使いしても長持ちしそうな
私的に良いものをセレクトして
長く愛用しています。

でも漆器、とくに汁椀は
気を付けて使っているつもりでも
漆がひび割れたりして
長持ちしないのが悩みの種でした。

数年前にとうとう汁椀を買い替えたのですが
またもヒビが入って、
それでも使い続けていたら漆が剥げて
中の木が見えてきてしまいました。

綺麗になおすならプロに任せる。が…

「漆は塗りなおして長くつかえるのよ」
と、友達に言われて
そうかそうかと調べてみました。

業者さんによって違いはあるけれど、
汁椀一つ2千円前後。それに送料。

5個あるからー。。。

うーん、家計のスリム化を進め始めたばかりなので
なかなかお直しに出す勇気が出ず。。。

フリマサイトで新品をお安く買うことも
考えたのですが

たぶん今のお椀を捨てられないだろうな。。
でもこのまま使い続けるのも気分あがらないし。

さらにいろいろ調べると、
自分で塗りなおす方法もあることはあると
知りました。

でも、綺麗になおすにはお道具を揃えて
専門家さんに習ったほうがよさそうでした。

自問自答を繰り返し
最小限の出費でなおすことにしました。

自分で塗りなおしてみた

そこそこ名店のお椀に自ら傷をつけて
筆を入れるのは勇気が要りましたが

家族で毎日つかうお味噌汁の椀だから
家族が良ければ大丈夫!

と、自分で塗りなおしてしまいました。

結果、こんな感じになりました↓

ひとつめは恐る恐るで、かなりムラがあります。

しかも、元の漆がはがれて木が見えていたところが
くっきりわかってしまいます。

このあとさらに調べたら、
この段差を埋める方法もあることが
わかりました。

慣れてきたらもう少し均一に塗れるようになりました。
家族で毎日使う分にはこれで上出来!

完璧が良い人はくれぐれも
プロにお任せしましょう・・・

必要なもの

最低限必要なものは

耐水サンドペーパー

マスキングテープ
ゴム手袋
パレット的なもの

です。

耐水サンドペーパー

後述しますが、失敗して塗りなおすとき
漆がひび割れて亀裂が盛り上がっている部分を
削って平にするとき
に使います。1200とか1500番を使いました。
100均で買えます。

すごくお手軽なのを見つけました。

マニキュアみたいになっていて、ブラシが内蔵されているのです。
ひとつ1800円くらいです。私が買ったときはもう少し安かったような。。。

ただ、内蔵のブラシは広い面を塗るには細すぎるし、
細かいところを塗るには太い気がします。

本当は広い面を塗る場合は漆専用の刷毛がベストですが
調べたらひとつ8千円くらいしたのでこの瓶に付属の
ブラシで意地になって塗りました。

マスキングテープ

漆を塗る境界線に使います。
100均で買えます。

ゴム手袋

漆は肌に直接つくとかぶれるらしいので
薄手のゴム手袋をして作業します。
万が一素手についてしまったら
すぐにオリーブオイルなどをなじませて
洗い流してください。

パレット的なもの

ブラシについた漆を均一にしたり
つきすぎた漆を減らしたりするのに
使います。
私は清潔なプラスチック容器
(果物などが入っていたわりと厚手のもの)
を適当な大きさに切って使いました。

手順

  1. お椀をきれいに洗って拭き、乾かす
  2. ひび割れが盛り上がっている部分を
    サンドペーパーを使って削り平らにする。
  3. マスキングテープを張る
  4. 漆を塗る
  5. 漆を硬化させる

2の補足
サンドペーパーは2センチ角くらいに切って
三つ折りにして小さな細長い形にしておくと
細かい作業がしやすいです。

4の補足
先ずはかぶれ防止に薄いゴム手袋をします。

ここが一番大切なのですが、
漆は厚く塗ると硬化したときに
皺がよってしまうので薄く薄く塗ります。


漆の良いところは、マニキュアのように
塗ったそばから固まっていかないことです。
気が済むまで塗りなおしできます。


本式は何度も筆を行き来させないんだと思いますが
マニキュアのブラシなのでちょっと無理です。
お椀に乗せた漆を薄く伸ばすつもりで。

5の補足

漆は乾かすというより、硬化させるという感じ。
お部屋にそのまま置いておいてよいわけではありません。

漆が硬化する良い条件は
温度25~30℃
湿度70~85%
と言われています。
こういう条件のお部屋をムロといいます。

寒い時期でなければ
段ボール箱の中などに
塗れ布巾と一緒に入れて
蓋をしておくだけでも大丈夫かもしれません。

私はオーブンを使ってしまいます。
温度を30℃に設定して
温まったら加熱をやめて
トレイ中段に塗った食器
下段にぬるま湯を入れたトレイを置きます。
温度が下がったらまた30℃に温めて
加熱をやめる、を繰り返します。

24時間経つと表面は乾いています。
完全に乾いているわけではないので
要注意。

1週間は漆が乾くのに良い条件のところ
(なんちゃってムロ)においてあげましょう。

1週間後ムロから出しても、6週間くらいは
常温でお休みさせるとよいようです。

なので、漆を塗ってから実際に使えるように
なるまで1か月半はかかります。

本当は写真を載せたいのですが、
ブログを始める前のことだったので
作業途中の写真がないのです、ごめんなさい。

感想

お椀の修理は、出来が気に入らないものを
塗りなおししたりしたので
3か月くらいの にわか趣味になって
週末のたびに漆あそびを楽しみました。

なかなか楽しかったです。

お椀をなおして気をよくした私は

塗りのトレイの修理と

赤い部分がボロボロだったので、もとの漆をサンドペーパーで落としてから塗りました。
よく見ると素人感満載ですが、前よりずっと綺麗になりました。

↑これ6枚全て塗りなおしました。
角の漆がはげた部分も黒い漆で修復しました。
お正月に使うのが楽しみです。

白木がスカスカになって捨てようかと
思っていた箸も塗りました。

総額3000円くらいでしばらく楽しく遊べて
漆の知識もついて
しかも実用的♪

あ、でも 母から受け継いだ重箱は
さすがにプロに修理してもらうことにしました。

ともあれコロナ禍でお外にでられない時期を
楽しく過ごせました。

その後かけた陶器もちょこっとなおすように。

それはまたいつかシェアさせてくださいね。

最後までお読みいただいてありがとうございました。

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